ホリエモンがモンサントに提案する遺伝子組換え技術の究極のイメージ改善法とは!?

FOODS NEXT特別対談
堀江貴文 × 日本モンサント・中井秀一

95億人以上の人口を養うために、2050年までに食料需要は現在の2倍にまで膨れ上がると言われています。しかし、この数十年間で世界の農地面積はほとんど増えていません。こうした世界的課題を解決する一つのテクノロジーとして注目されているのが植物バイオテクノロジー、いわゆる遺伝子組換え技術。モンサントはバイオテクノロジーなどを駆使して2030年までにトウモロコシ、大豆、ワタなどの主要作物の単位面積当たりの収量を2000年の倍に伸ばし、作物栽培に必要な水、土地、肥料などを3分の1に削減することを掲げています。

しかし、不自然な作物として捉えられているせいか、遺伝子組換え作物(GMO)を批判する映画や反対運動などもあり、誤解や負のイメージは根強いものがあります。誤解を払拭し、技術の有用性や必要性を社会と共有するにはどうしたらいいのでしょうか。今回は、堀江貴文氏をお招きし、日本モンサント株式会社取締役社長 中井秀一と対談していただきました。

遺伝子組換え技術の安全性を論理的に説明しても無駄。

堀江貴文×日本モンサント・中井秀一2中井:堀江さんは遺伝子組換え技術についてTwitterで発信したり、農業生物資源研究所(現:農研機講)の研究者と対談したりしていますよね。率直に遺伝子組換えという技術について、どうお考えですか?

堀江:遺伝子組換え技術は遺伝子組換え技術ですよ。それ以上でもそれ以下でもないんじゃないですか。

中井:遺伝子組換え技術って、誤解が多いと思うんです。そのイメージを払拭できないかと。

堀江:それはしょうがない。遺伝子組換えにネガティブなイメージを持った人たちに何を言っても無駄なので。水素水はいいのに遺伝子組換えはダメとか意味がわからない。ある意味宗教みたいなものなので、どうにもならないんじゃないですか。

中井:なぜ遺伝子組換えは世の中に受け入れられないんでしょうか。

堀江:みんな水素水とかコラーゲンとかは大好物なんですよ。でも、遺伝子組換えは大嫌い。化学調味料は大嫌い。放射能は大嫌い。要はケミカルとオーガニックという宗教で分かれている感じ。遺伝子組換えはケミカルに分類されているから。

Instagramとか見ていても、ビーガン(完全菜食主義者)じゃないのに「ビーガンのレストランに来ました」みたいな写真をアップしている人がよくいる。だからもう雰囲気。ファッションと同じなんですよ。科学的で真面目な話をしたところで、アンチ遺伝子組換えの人たちは理解しません。

中井:遺伝子組換え作物の研究開発に携わってきた者としては、イメージだけではなく、この技術のメリットや安全性をしっかりと理解してもらったうえで受け入れてもらいたい。そのためには、地道な情報提供活動も大切ではないかと考えていますが、そこについてはどうお考えですか。

堀江:気持ちは分かりますが、地道な情報提供活動をしてもあまり意味がないと思うんですよ。どこまでいっても宗教だから。まずファッションをつくっていくしかないんです。「モンサントってイケてるよね」「遺伝子組換えってイケてるよね」っていう文化をつくっていくしかないと思うんです。たとえば、銀座にパイロットショップを出すとか。別に安全性とかを今さら議論してもしょうがない。

中井:科学的ロジックは通じないと。

堀江:そう。例えば医者のなかにも「NonGMOを食べましょう」みたいなブログを書いている人もいる。その中で「GMO食ったら奇形児が生まれた」みたいな写真をSNSにアップしていたから、反論を書き込んだんです。そしたらその医者は滔々と大企業陰謀論だとか、ケミカルは体に悪いとか反論してきたんですよ。「バカじゃないの」って思いましたけど、それが現実だと思います。

「遺伝子組換えはカッコいい」と堂々とアピールすべき。

堀江貴文堀江:結局ファッション対決なので、どっちが消費者に刺さるメッセージを出せるかが勝負。別に正義はモンサントにあるんだからいいじゃないですか。正々堂々とやればいいんです。「遺伝子組換え作物で世の中は救われるんだ」って、事実なんだから。そういう論陣を滔々と張ればいいんですよ。

ネガティブな声が多いせいか、どうも遠慮がちに感じます。全然ビクビクする必要はなくて、「俺たちはいいことをやっているんだよ」、「世界の食料生産を支えている」、「Save the world!」、って言えばいい。堂々と事実を伝えれば、それに賛同してくれる人たちもいるはずだし。明確なポジショントークが必要。

中井:まずは食料生産を支えているというポジションを明確に伝えることが大事なのですね。具体的なメリットや安全性は、「本当のところはどうなの?」と聞かれたときに、自信をもって説明すればいい。

食料生産といえば、「緑の革命」をやった農学者のノーマン・ボーローグ博士って、ノーベル平和賞をもらっているんです。緑の革命によって劇的に収量が上がり多くの命を救ったと。当時は化学肥料でつくった穀物も受け入れられたんです。

堀江:それがブランディングですよ。例えば地球温暖化に警鐘を鳴らした「不都合な真実」っていう映画あったじゃないですか。あれなんかめちゃくちゃ成功しましたよね。

中井:元アメリカ副大統領のアル・ゴア氏もこの映画での啓発活動が評価されてノーベル平和賞を受賞していますね。モンサントのCTO(最高技術責任者)は遺伝子組換え技術で、ノーマン・ボーローグ博士が1986年に制定した、農業のノーベル賞と言われる世界食糧賞を受賞していますが、こうした事例などを伝えていくことで、イメージが変わるかもしれないですね。

一方では、モンサントを批判する映画なんかもあるんですよね。遺伝子組換えに対する反対デモもあります、ネガティブなイメージはこうしたことも発端となっているように思います。

堀江:もうカルトですからね。狂信的なカルトって次から次へと誕生しますから。

中井:堀江さんは情報提供活動もイメージ戦略が大切だと仰いますが、遺伝子組換え作物には既にネガティブなイメージがついてしまっています。このようなマイナスからのスタートであっても、理解を得ることは可能だと思いますか?

堀江:みんなすぐに記憶をすり替えるので大丈夫。もとの評判よりも、今が大事。ふと思ったんですけど、画期的においしい果物や野菜を遺伝子組換え技術で作ってはどうですか?

中井:そうですね。ただ、遺伝子組換えといっても、できるものとできないものがあるんです。私は学生の頃、アフリカの砂漠でも栽培できるトウモロコシをつくろうと夢見てこの世界に入ったんです。ただ、4万個の遺伝子がある中に3つ、5つ遺伝子を入れるぐらいじゃ砂漠の中で生えるトウモロコシをつくることはできない。そんな現実を今はある程度知ったんですけど、一方で食料の増産や環境負荷を軽減できることも事実なわけで。その中で、どれだけ貢献できるかですよね。

堀江:例えば、イチゴの新品種をつくるとか。遺伝子組換え技術であまおうよりも甘いイチゴをつくることはできるんですか?

中井:それは可能だと思います。ただ味の改善は従来の交配育種でも可能かもしれない。遺伝子組換え技術にしか達成できないことで画期的なものが出さればいいですね。

何が心に刺さるかは、たくさん試さないとわからない。

とうもろこし堀江:結局、これをやったら絶対に成功しますというものはありません。何が刺さるかは、試すしかない。ある程度の経験則はあるにせよ、たくさん試しましたというくらい試さないと正解が出てこないんです。

中井:エラーを恐れて何もしなければ、結局何も生まれないわけですからね。

堀江:うまくいかないケースがほとんどだけど、試しているうちに中には大ヒットする戦略があったりする。他の会社がやったことがある画期的なマーケティング手法みたいなものを、とりあえず試す。オリジナルにこだわる必要はなくて。大体過去に他の会社が何かやっているので。

例えば、これも大体みんな採用しないんですけれど、プロ野球チームを持つとかね。マーケティング費用として考えたら安いものですよ。

中井:それは、スポンサーではなくて、実際に全部を運営するということですよね。

堀江:そうですよ。だって、企業名を入れられるんですよ。めちゃくちゃいいじゃないですか。
立ち上げはキャッシュアウトするけれど、広告効果としてちゃんと戻ってきますよ。このマーケティングで一番うまくいったケースが、オリックス。オリックスも野球チームを持って事業を拡大し、今ではすごく有名な会社になりましたよね。

中井:日本で実態が無く、モンサントという名前だけがネガティブなところで一人歩きしている感じがあるので、日本のプロ野球のチームを持っている会社のような社会的な信用は確かに大事かもしれませんね。ただ、とてつもなく大きなスケールの話ですね(笑)。

学生のチャレンジを支援して遺伝子組換えのイメージを変えるのもあり。

日本モンサント・中井秀一中井:例えば、小学校の教育から遺伝子組換え技術に関する正しい知識を伝えていく、というのはどうでしょうか。

堀江:化学肥料がなかったら人口が増えなかったのに、世の中の多くの人たちはこの100年間で人口が自然に増えたと思っている。普通に増えるわけがないのに。結局教育をしたところで、わからない人はわからない。

中井:教育の問題ではないということですか?

堀江:教育の問題ではなく、思想の問題ですね。一般の人は医者のように権威のある人の言っていることを信じてしまう。「モンサントが小学生を洗脳し始めた」なんて週刊誌に叩かれる恐れもありますし。

中井: 現在、大学生の遺伝子組換えを正しく伝える動画のコンテストを企画しています。

堀江:学生のチャレンジを支援するのはいいんじゃないですか。僕だったら高校生科学グランプリみたいなことをやってほしいですね。鳥人間コンテストとかロボコンのバイオテクノロジー版みたいなこと。

中井:実際に何か新しいプロダクトをつくるイメージですかね。

堀江:そうですね。バイオテクノロジーに特化したコンテストでも面白いアイデアを持っている人たちは出てくると思うんです。昔に比べると、遺伝子解析をすごく安価にできるので。いろんな面白いことができるようになるじゃないですか。例えば、日本だと蚕(かいこ)の研究が進んでいるから、蚕を使うのもありだと思います。

僕は蚕の可能性はすごいと思います。タンパク質の生産にも使えるし、動物実験にも使える。動物実験って、動物愛護保護団体みたいなのがどんどんクレーム入れていて、もうサルとか全然使えなくなっちゃった。だからマウスとかでやっているわけですけれど、マウスもこれからは、どんどん規制がかかってくると思います。そこで虫の登場です。

虫って人間とは全然違うとみんな思うんだけれど、意外と似ていて。黄色ブドウ球菌とか注射すると、やっぱり弱ったりとか、死にそうになったりとかするんです。例えば、新しい抗生物質を開発するときとかは、蚕を使って動物実験をやっても、全く同じようなことが起こるみたいですね。日本は蚕の大量生産技術があるので、そういった研究は進んでいる。

中井:スプツニ子さんっているじゃないですか。彼女は遺伝子組換え蚕に恋愛ホルモンを織り込んで、勝負服をつくろうという企画をやっていて。アピールの仕方が上手いなと思いますね。

堀江:そういうのを支援するコンテストをやるのがいいんじゃないですか。遺伝子組換えプロダクトを使った画期的なアイデアが出てくると面白いなと思いますし。それで画期的なプロダクトを支援しているカッコいい会社だと認識してもらうブランディングはありだと思います。夢があるし、何よりもこれからの時代、遺伝子組換え技術は間違いなく必要不可欠なテクノロジーなので、僕はぜひやってほしいと思います。期待してます!

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