【FOODS NEXT第1回】世界の穀物自給図から日本を取り巻く食料事情を考える

新コーナー『FOODS NEXT』始動!!

2050年に世界の人口は97億人に達します。経済成長とともに食生活は豊かになり、食料の需要は2倍になるとも言われています。一方で食料生産を支える農地面積が増える見込みはありません。
人びとの「食」は今後どうなるのでしょうか?これは遠い海の向こう国の話でも、何百年も先の未来の話でもないのです。食料の多くを輸入に支えられる日本で、わたし達、そしてわたし達の子供達は、少し先の未来に「食」の課題に直面することになります。
『FOODS NEXT』では、少し先の未来の「食」の課題と課題解決のアイディアを、身近な切り口で考えて行きます。

日本とアフリカの国々には、ある共通点があることをご存知ですか?生活様式も国を取り巻く環境もまったく違うのにどんな共通点があるのか、イメージすらできないかもしれません。

しかし、上に提示した世界地図を見れば、日本とアフリカの国々が共通して赤い色に塗られていることがわかるでしょう。答えは、「穀物自給率の低さ」です。日本の穀物自給率は27%、同等レベルなのが、アフリカ南部の国々で、30%前後に留まります。

穀物自給率とは、米、小麦、トウモロコシ、大豆、ナタネなどの穀物の食料消費量が、国産でどの程度賄えているのかを示す指標のこと。つまり、日本とアフリカの国々は日々の食事の多くを支える穀物を、自国だけでは3分の1しか賄うことができていないのです。

では、ほかの国はどうなのでしょうか。世界の穀物自給図から今、日本が抱える食料事情について考えてみましょう。

資料:GLOBAL NOTE 出典:FAO
資料:世界の穀物自給率マップ 出典:農林水産省「食料自給率の部屋」

世界175カ国中124位なのに、なぜ日本の食文化は豊かなのか?

世界の穀物自給率穀物自給率において、日本の27%というのは、175カ国中124位であり、アフリカの国々の中でも自給率の低いナミビア(31.1%/175カ国中122位)と同等レベルです。一方、同じアフリカの中でも、中央アフリカ(82%/175カ国中60位)の自給率は日本よりもはるかに高いのです。なお、米国の穀物自給率は11位(132%)と、その差は歴然。1位のオーストラリアは333%と、日本のおよそ100倍にものぼります。

続いて、摂取カロリーから日本とアフリカを比較しましょう。日本では1日あたり一人2,726kcal(174カ国中104位)ものカロリーを摂取しているのに対し、ナミビアでは2,171kcal(174カ国中163位)です。また、穀物自給率が日本よりも高い中央アフリカの摂取カロリーは1日あたり一人1,879kcal(174カ国中174位)と、日本を大きく下回ります。アフリカの国々に比べ自給率は低いのに、日本のほうが食生活は豊かなのはなぜでしょうか。それは、日本は食料を海外から安定して輸入できているためです。

純国産といえる食肉・卵・乳製品はほんのわずか

家畜の資料国内の消費量のうち70%以上を輸入している穀物の多くは、直接食べるだけでなく、家畜の飼料に活用されています。日本における飼料の自給率は26%(平成23年度)であり、およそ7割を輸入に頼っているのです。多くはトウモロコシで、大豆なども油を搾ったカスなどが飼料に回ります。食肉、鶏卵、乳製品といった畜産物を多く食べるということは、それだけ穀物が必要となるということになります。

たとえば、スーパーなどに並ぶ牛肉のパッケージに「国産牛」と示されていたとしても、その牛が食べた飼料まで遡れば、実は輸入された穀物で育てられていた……といったケースがほとんどで、飼料も含めて純国産で作られた畜産物といえるのはたった11%と本当にごくわずかしかいません。

トウモロコシというと、茹でて食べたり缶詰になる甘いスイートコーンをイメージする方が多いと思いますが、日本が大量に輸入するトウモロコシの多くは、デントコーンという別の品種です。家畜の飼料の他、コーンシロップとして飲料の甘味料等に利用されています。これらのトウモロコシの自給率はほぼ0%で、日本は数年前まではトウモロコシの輸入量世界第1位、現在はメキシコについで第2位です。

さらに、家庭で日常的に使用する醤油や味噌、豆腐、納豆といった和食には欠かせない食材の原料となる大豆も、海外からの輸入に頼らざるを得ない状況にあるのです。

大豆は、世界的にもなくてはならない存在だった。

世界の豆類自給率世界の国々の豆類の自給率をグラフで見てみましょう。日本は9%と豆類の自給率非常に低く、中でも「大豆」は驚くべきことにたった7%。9割以上を米国やブラジル、カナダといった国々からの輸入に頼っているのです。

日本人にとって豆腐や納豆、煮豆など食用のイメージが強い大豆ですが、大豆の世界的需要は、大豆を搾ったときにできる大豆油や、飼料用の大豆ミール(大豆粕)が主要です。日本も食用に使う大豆は全体の2割とごく一部で、7割は食用油、残りを飼料や種子として使用しています。

食生活が豊かになれば、畜産品と共に油の消費量も増えます。飼料や油の原料となるトウモロコシや大豆などの穀物の供給が世界的にも追いつかなくなる可能性が危惧されているのです。

こうした世界の穀物自給図が変化していく中、日本の食事事情はどのような影響を受けるのでしょうか。

日本は、グルメブームが続いています。レストランに入れば、和食だけでなく洋食、中華料理、イタリアン、フレンチ、エスニックと世界中の料理が食べられます。豊かな食生活が当たり前のようになっていますが、こうして少し冷静に見てみると、肉やチーズ、牛乳等の畜産品や油があらゆる料理に使用されていることに気づきます。日本の食生活は輸入穀物が支えているのが現状なのです。これからも、この豊かな食生活は、続けられるのでしょうか?

次回は、この穀物自給率の現状を踏まえ、日本の食事事情について考えます。

資料:農林水産省「大豆のまめ知識」
資料:農林水産省「世界の食料自給率」
資料:農林水産省「大豆をめぐる最近の動向について」

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