【モダン・アグリカルチャー】 伝統と最先端技術の融合

知識、熟練さ、判断力を兼ね備えた農業生産者

現代の農業生産者は、何世紀にも渡る伝統によって培われた知識基盤と技能に加え、最先端のデジタルツールの力も手に入れました。その結果、モダン・アグリカルチャーは農業が環境に与える影響を軽減し、より多くの作物を栽培するのに役立っています。

ある農業生産者ウォルト・ボーンズ(Walt Bones)一家は日々、農作物の相場を確認したり、土壌の健康や肥沃度についての農学データを調べたり、36列プランターのような最先端機器を修理したり、地域の同業者たちと栄養や家畜の飼料について意見交換したり、市民に遺伝子組換え作物について話をしたりしています。

 

継承される家族の伝統

ボーンズ氏は四代目の農業生産者で、曽祖父が1879年に開拓したサウスダコタ州パーカー近郊で農業を営んでいます。近隣の多くの生産者と同様に、ボーンズ家でも常に多様性に富んだ農業をしてきました。約7千エーカー(約2,832ヘクタール)の農地におけるトウモロコシやダイズの栽培に加え、地域の酪農協同組合に参加し肉用牛の繁殖事業も手がけています。経営は2人の兄弟、義兄弟、3人の甥と共に行っています。

ボーンズ氏は「多様性のある農業は、それぞれが得意とする秀でた専門知識や技能の集大成によるものです」と述べています。

彼の兄弟の1人、ジム・ボーンズ(Jim Bones)氏と甥のダン・ボーンズ(Dan Bones)氏は農作物の交配種、作物保護製品や肥料を選びその年の栽培計画を立て、もう1人の兄弟であるスティーブ・ボーンズ(Steve Bones)氏と甥のマット・ボーンズ(Matt Bones)氏は機器のメンテナンスと操縦を担当しています。義兄弟であるライル・バン・ホーブ(Lyle Van Hove)氏はマーケティングとリスク管理の担当。ライル氏の息子、マイク・バン・ホーブ(Mike Van Hove)氏はメンテナンス主任であり、必要に応じて特化した道具や機器を組み立てたりもします。さらに肉牛の飼育担当はモンテ・プリュッカー(Monte Plucker)氏です。

決定の多くは経験と伝統に基づいています。例えばボーンズ一家は作付け時期を決めるとき、天候やその他の要素を注意深く見守るのはもちろんですが、実際に農地を歩いて土壌が作付けに適した状態になっているか確認するのに勝る方法はないと長年の経験から学びました。湿気があり過ぎるのは好ましくありません。トラクターが立ち往生してしまう可能性があるからです。地面が確実に重さに耐えられることに加え(押し固められた土壌は種子の発育を妨げます)、プランターの播種・養分散布用機器の部品が泥で詰まらないように気を配ることも重要です。

 

テクノロジーを活用した精密農業

作付け時期が決まったら、ボーンズ一家は最先端技術を活用して作業します。彼らは2台の36列プランターを使っていますが、これは1台で1時間におよそ40エーカー(約16ヘクタール)に作付けすることができます。そのため、1日の作業で800~900エーカー(約323~364ヘクタール)に作付けすることが可能です。

これらのプランターを牽引するトラクターには交互に配列されたデジタル計測器が備えられています。作付け期に機器の操縦を担当するマット・ボーンズ氏とマイク・バン・ホーブ氏は今年の冬、2台のうちの1台のプランター各列に最新式センサー付きのものに買い換えるよう提案しました。これらのセンサーは毎秒200もの情報を読み取って下向きの圧力を監視し、理想的な2インチ(約5cm)の深さを保って播種できるように圧力を調整します。この技術によって、播かれた種子の一つひとつが最大の結果を出す環境を確保することができます。

作付けが始まると、日々の課題は作付計画とその実行になります。ボーンズ氏らは毎朝その日の作付け予定を話し合い、プランターを準備し、種子やスターター肥料を積み込み、補充用のトラックも充填します。そして最も大切な任務として忘れてならないのが、7人のために近くのカフェへ昼食と夕食を買い出しに行き、彼らが作業している農地まで食事を届けること。

ボーンズ氏は「みんな食事を受け取るためだけに手を休め、すぐにまた作業にもどるんだ。本当に働き者なんだ」と述べています。

 

次世代の養分管理

精密な科学の力により頼る決断も増えました。栄養素管理、つまり土壌を分析し肥沃度を決めることは、過去数十年の間にグリッド・サンプリングや詳細な土壌の肥沃度と栄養分の分析といった手法が誕生したことで非常に精密な作業となりました。

ボーンズ氏らは多様性のある農業を営んでおり、また周囲には家畜を飼育している生産者もいるため、牛や豚の糞尿といった有機肥料が入手できます。但し、これらの肥料を使う前には、地域の農学者と協力して農地の土壌の窒素及びリンの含有量を分析します。それから先端技術を用いた環境にやさしい土製の糞尿だめや供給路を有効利用して有機肥料を貯蔵したり運んだりします。

ボーンズ氏らは、広大な土地を2~3エーカー(約0.8~1.2ヘクタール)に区分するグリッド・サンプリングと呼ばれる土壌の検査法を採用しています。これにより細かく区分された農地の状態をより正確に把握することができ、どの区画にどれだけの肥料を投入するべきか(肥料の投入を抑えるべき区画はどこか)を決められるのです。

さらに、農地に肥料を投入する前に天気予報に細心の注意を払い、大雨が予測される前には施肥しないようにします。また降雨後の流出量を最小限に抑えるため、彼らの農地は草で覆われた緩衝用の土手で区切られています。さらに彼らが事業を行っている土地全体を通して、土壌保全留保計画(Conservation Reserve Program)に従い、野生動物の生息地のための区画が設けられています。これにより地域の水路に養分が流出する可能性を最小限に抑えることができます。全体的に、土壌の健康と水質を維持するためには、ボーンズ氏らが土壌化学、栄養化学、天気及び気候パターン、さらに最先端の散布機器に深い理解力を持っていることが不可欠となります。

 

計画、計画、また計画

モダン・アグリカルチャーとは洗練された知識、最先端のテクノロジー、そして複雑な意思決定の組み合わせです。それでも尚、その年の成功の可否のほとんどは農業生産者にとって不可抗力の要因に委ねられます。天候、地域の貯蔵庫の使用の可否、加工の選択肢、農作物相場の変動などの全てが農業生産者の一年に多大な影響を与えます。

「備えあれば憂いなし(幸運は備えのあるところに訪れる)」という諺がありますが、農業生産者も万事に備えられるよう懸命に努力します。そうすることによって被害を最小限に抑え、チャンスを最大限に活用できるからです。

他の多くの生産者と同様に、ボーンズ氏らの事業も農産業の発展とともに進化し続けています。新たに利用できるようになった機器や作業過程を活用しながら、彼らの経験や知識を最大限に生かす方法を模索しているのです。

現代の農業生産者は非常に高度な技術を使いこなしています。次世代の生産者はさらに進化しているでしょう。

 

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